2021年1月1日、2020年7月31日付ロシア経済発展省命令No.478によって承認された新しい適合宣言書登録と登録簿管理手順が施行されました。
適合宣言書は申請者によって作成され、データベース(登録簿)に登録されることによって効力を発揮するのですが、実運用としては、申請者(メーカーや輸入者)が認証機関に作成を依頼し、登録作業までを一任している形が一般的でした。
しかしながら、適合宣言書の登録方法として、法令上では認証機関による適合宣言書の登録のほかに、ロシア認定庁のデータベースへの申請者による電子申請という形も認められていました。当局としてはこちらの方法をメインにする方向で動いていましたが、ここにきて認証機関から登録権限を剥奪するという方法で、申請者による電子申請の一本化を図りました。
今後、一部の規則(TR CU 001/2011,002/2011、003/2011の鉄道関係の適合宣言書とTR CU 006/2011火工品の宣言書)を除き、適合宣言書の登録は申請者自らが行う必要があります。
この法改正による影響は未知数ですが、2020年後半より多方面で宣言書にかかる問い合わせやトラブル対応が続いており、現段階でわかっているものは、下記になっていますので、2021年以降適合宣言書を作成する場合、十分に時間をもって対応してください。
1.規則の適用性に関する税関の目の厳格化
新手順によると認証機関を挟まずに完結してしまうことから、本来は適合証明書が必要なところ、適合宣言書を作成し通関を使用としたところ税関で止められる、または適合宣言書のカバー力を税関に疑われる、など宣言書からみの通関トラブルが今後増えることが予測されます。
これまでRefusal Letter(非該当証明)として使われてきた認証機関からの書簡が、今後は技術規則の適用の妥当性を証明する文書として要求される場面が増えそうです。
2.GLN(Global Local Number)とGTINコードの必要性
ユーラシア経済連合域外のメーカーの場合、この2つの情報の提供が必須となっています。両者ともに「任意」の意味をあらわす(При наличии)の文言が法令上にないため、現状必須です。
上記コードの入力がないとデータベースでシステムエラーがおこり登録作業が完成しない可能性が非常に高く、取得が必要です。
GLNもGTINも取得コストや期間などのメーカー側の負担を考えると、かなりの影響があるため、改定が望まれますが、ロシア政府がデジタルマーキング制度の導入などで急速なデジタル化を進めている現在、改定がされない可能性も十分あります。ただし、ユーラシア経済連合の法令ではこのデータは必須項目ではなく、ロシアのみ厳格化されているという点で改正の対象になる可能性も否定できません。
特に2021年上半期に適合宣言書の作成をする必要がある場合、GS1事業者コードの取得を前提に計画を立ててください。
日本では、GS1 JAPANのサイトで新規登録ができます。
弊所では現在パートナー企業と新手順に関する影響や対策方法などについて情報交換を行っております。
できるだけオンタイムで情報提供ができるように努めておりますが、ロシアにおける法改正は、施行されてからでないとわからない、見えないものが多く対応がどうしても遅れがちになってしまうことを予めご了承ください。