2021年4月9日、関税同盟技術規則TR CU 032/2013「一定圧力下で作動する設備の安全性について」への改定を承認している2021年4月6日付ユーラシア経済委員会協議会命令No.539が公示され、即日施行された。
規則の適用範囲の明確化
第一に、規則の適用範囲となる機器のカテゴリーが明確化され、この規則の適用対象外となる4つのカテゴリーの製品が追加された。
- 110℃以下の温度の水の供給、分配、分岐網、並びに水力発電所の導水路と該当する搭載部品
- 建物および建造物の温水暖房システムの中の暖房装置と配管
- 内燃機関に気体燃料(圧縮天然ガス、液化石油ガス(又は液化炭化水素、液化天然ガス、ジメチルエーテル)を供給するための設備や設備の要素で、車両において使用されるためのものとして特別に開発されたもの
- 配管及びその要素の支持装置
規則の中で使用される用語の定義の更新
TR CU 032/2013の改定版において、ユーラシア経済連合域内での技術規制に関する議定書(2014年5月29日付ユーラシア経済連合に関する条約への付属書No.9)並びに2018年4月18日付ユーラシア経済委員会理事会決議No.44によって承認された適合評価の典型スキームによって定められている用語とのその定義に準拠することが規定された。そのほか、規則内での用語集も更新されている。
機器の安全性を根拠づける文書に対する要求事項の導入
重要な追加次項として、機器に特有なあらゆる危険因子や安全要求事項を考慮して、機器の安全性を根拠づける必要書類を具備しなければならなくなったことが挙げられる。
- 開発(設計)及び生産(製造)段階で設備に対する要求事項を設定している要求仕様、仕様書又はその他の文書
- 設計(構造)文書(図面、回路図、仕様書、計算書)
- 設備に添付される技術文書
- 試験に関する報告書(レポート、結論書、調書、証明書)
これらの書類は、リスクや動作信頼性の評価を含むその他の文書がある場合に、それらの文書で補填される。
セーフガード条項の削除
TR CU 032/2013の第VIII章「セーフガード条項」は、失効することになった。
機器分類の見直し
改訂版のTR CU 032/2013において、危険カテゴリーに関する機器の分類を定めている付属書No1が全面改定されている。改定案において、第4カテゴリーに関する機器の分類がより詳細に記載されている。 例えば:
- 耐圧の設備の要素(組立単位)及びそれらの構成部品
- 表示装置及び安全装置
- 保安装置及び安全機器
重要な追加次項としては、設備が同じグループの異なる作動流体又は異なるグループの同じ作動流体に対して仕向けられている場合、各作動流体に対して特定される最も大きいグループのカテゴリーに分類されるということである。
また、(第4カテゴリーを除き)カテゴリーが1つあがるケースについての要求事項の見直しもされた。これは、設計壁面温度が以下のように使用される機器に関係する。
- 380℃以上 - 炭素鋼及び低合金マンガン鋼・シリコンマンガン鋼に対して
- 450℃以上 - 低合金クロムモリブデン鋼、クロムモリブデンバナジウム鋼に対して
- 525℃以上 - マルテンサイト系高クロム合金鋼、オーステナイト鋼に対して
- 575℃以上 - 鉄ニッケル合金に対して
- 600℃以上 - ニッケル合金に対して
TR CU 032/2013への改定案によって、第2グループの作動流体のために使用される圧縮、液化、加圧溶解ガス及び蒸気用容器のカテゴリーが見直された(付属書No.1の表2)。動作パラメータ(容積と設計圧力)に関して制限が加えられた。例えば、容積が0,001m3超過で設計圧力0,05MPa超過の機器は、以前は第1カテゴリーに属したが、容積0,4m3以下で設計圧力20MPaまでの明確化が予定されている。これらのパラメータの積に関する基準は、変更なしのままである。
また、改訂版において、開発、製造時の機器の安全性に対する要求事項が見直されている(TR CU 032/2013付属書No.2)
識別ペイント及び識別情報に対する要求事項が規定されているTR CU 032/2013の付属書No.3の第1章において、《炭酸ガス》が《二酸化炭素》に変更された。
TR CU 032/2013の改定案を最終承認するために、ユーラシア経済委員会理事会による審議に回される。
TR CU 032/2013は、2013年7月2日付ユーラシア経済委員会理事会決議No.41によって承認され、2014年2月1日に施行された。
情報ソース:弊所パートナー企業<NOVOTEST>ニュースより